2,紫外線の種類と作用・効果にはどのようなものがありますか?
7,ランプガラス材料による紫外線ランプの種類はどのようなものがありますか?
8,紫外線殺菌ランプの中圧ランプと低圧ランプはどのように違うのですか?
9,低圧紫外線ランプはW(ワット)数が同じなら、どれでも同じですか?
10,紫外線ランプはW(ワット)数が大きいほどよいのですか?
11,閃光殺菌(閃光パルス殺菌)とは、どのような殺菌装置ですか?
13,紫外線タンク照射殺菌装置には挿入タイプがあるようですが?
14,タンク照射で内部挿入したほうがエネルギー効率がよいと思うのですが?
15,通常、カタログに載っている処理量とはどのような基準ですか?
16,キャップやペット口照射の照射量はどのように計算しているのですか?
17,キャップ殺菌でのランプ本数の違いは、能力の違いになるのですか?
18,いろいろなメーカーの紫外線照射殺菌装置に違いはあるのですか?
25,紫外線殺菌装置を導入(選択)する上で大事なことはどのようなことですか?
26,(株)豊振科学産業所の装置は標準がフルスペックですがどうしてですか?
27,紫外線ランプで同等品ということを言われますが、同じですか?
28,UTSで使用されている樹脂保護部は耐熱性はありますか?
29,UTSの樹脂保護部は糖の焼付きや汚れの焼付きが起こりませんか?
30,PETボトル口部やプリフォームの口部はなぜ殺菌する必要があるのですか?
1,紫外線とは何ですか?
紫外線は電磁波の一種で、電磁波には紫外線のほかにX線、可視光線、赤外線、電波などがあります。およそ100~400nmの範囲の波長を紫外線といい、この波長の長いほうからUV-A(315~400nm)化学線、UV-B(280~315nm)健康線、UV-C(100~280nm)殺菌線の3つに分類されます。
2,紫外線の種類と作用・効果にはどのようなものがありますか?
- 色素の沈着・・・・320~400nmの紫外線が表皮に照射されると、紅斑が生じることなしに、表皮にメラニンが生成され色素が沈着します。
- 紅斑の原因・・・・200~340nmの紫外線は、皮膚の中にあるアミノ酸に作用して、毛細血管を拡張させ紅斑を生じさせます。長時間この波長にあたることは、色素沈着の原因にもなります。
- 光化学作用・・・・300~400nmの紫外線は、光化学反応に利用されています。代表例としてジアゾ複写と印刷製版があり、ジアゾ複写は紫外線の光分解作用により、紫外線のあたったところは発光材が結合せずに無色になるというジアゾ化合物の性質を利用したものです。 印刷製版は、感光性樹脂版材が紫外線の照射により光硬化する性質を利用したもので、硬化しない部分は薬液により溶けて流れ、光を受けた部分が凸状に残り、印刷用凸版が出来ます。
- ビタミンDの生成・・・・250~313nmの紫外線は、体内でビタミンDを生成し、カルシウムやリンなどの鉱物質の代謝を促進するため、健康上非常に重要です。 このことから280~320nmの紫外線は健康線或いはドルノー線とも呼ばれています。
- 殺菌作用があります・・・・日光消毒にも見られるように、太陽光に殺菌力のあることは一般にも知られています。これは紫外線によるもので、260nm付近の紫外線は、日光の波長(350nm付近)の1600倍程度の殺菌力にもなります。
3,紫外線の殺菌作用の原理はどのようなことですか?
紫外線による殺菌作用は、紫外線が生体中の核酸に吸収され、化学変化を起こしDNAに損傷を与え、細胞の修復機能を失うことにあるといわれています。核酸の紫外線吸収曲線と波長による殺菌効果曲線を対比してみると、核酸の吸収は260nm付近に最大値を示し、殺菌効果曲線とよく似た曲線を描き、更に大腸菌の致死スペクトルからも、核酸の吸収スペクトルとよく一致することから、紫外線の標的はDNAであることを意味し、殺菌ランプから放射される紫外線(波長253.7nm)が細胞内のDNAに吸収され、核酸を構成する5つの塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル)が化学変化を起こし、2量体が形成され、核酸がその複製機能を失うことによることを裏付けています。
4,紫外線の殺菌効果はどのように確認するのですか?
紫外線による殺菌効果を求める場合、紫外線はX線の場合に用いられる吸収されたエネルギー量ではなく、入射エネルギーで定義され、慣例として紫外線強度(μW/cm2)と照射時間(sec)の積(μW・sec/cm2)で表されます。効果の判定は細菌やカビの一個の細胞或いは細胞群が一個の可視集落(マクロコロニー)を形成することを生残と定義し、生残率或いは殺菌率で表します。紫外線に対する感受性は微生物によって大きく異なり、一般には特定の殺菌率と必要紫外線照射量の表を使って、対象とする微生物に対する殺菌装置の殺菌効果判定の一つの目安としています。 実際には、紫外線照度をパラメーターとする生残率の照射時間による変化をプロットした生残率曲線(Surviving Fraction Curve)を用いて殺菌装置を設計し、実装置での殺菌効果確認を行います。
5,一般に紫外線ランプとはどのようなものですか?
紫外線ランプとは400nm以下の光を放射するランプです。一般的には、ランプ内の水銀蒸気中の放電によって放射される紫外線を出すランプをいいます。点灯中のこの水銀蒸気圧が0.1hp以下の場合を低圧水銀ランプといい、10hp以上のものを高圧紫外線ランプといいます。低圧紫外線ランプは253.7nmの発光効率が高く、出力光の90%程度が253.7nmです。発光原理は、電極間にとんだ電子が管内の水銀原子と衝突し、衝突によって励起したエネルギーが元に戻る時に253.7nmの電磁波エネルギーとして放出されます。
6,紫外線ランプの特性や特徴はどのようなものなのですか?
紫外線ランプの特性は一般蛍光ランプと同様に、使用時間、周囲温度、点滅頻度などによって変化します。紫外線出力特性はこれらによって大きく変化します。
点灯時間による維持率、周囲温度による変化率が特に重要です。紫外線出力の維持特性はランプの製造方法、ランプのガラス材質に起因します。一般にガラス材質は石英ガラスが望ましく、不純物が少なければ少ないほど経時劣化が少なく、点灯時間(連続)8,000時間の使用においても、初期紫外線出力の70%以上を維持するランプも商品化されています。この初期紫外線出力の70%が寿命と定義されランプ交換が推奨されています。
周囲温度による紫外線出力の変化はランプ中に封入された水銀蒸気圧に影響をうけ、蒸気圧6~10μmHgのとき効率が最大となり、蒸気圧が高くても低くても紫外線出力は低下します。一般に周囲温度20~25℃(管壁温度40℃前後)のとき最大になるように設計されています。周囲温度が30℃を超えたりする場合は、水銀蒸気圧をコントロールするようにしたランプも開発されています。
ランプの特性因子としてはランプが点灯しなくなる(切れる)不点寿命があります。不点寿命は点灯サイクルに大きく影響を受けます。またランプ特性は電源電圧の変動にも大きく影響されます。
7,ランプガラス材料による紫外線ランプの種類はどのようなものがありますか?
- ソーダガラスランプ・・・・ソーダ-ガラスは蛍光灯に使用されているガラスで、管の内側に、紫外線に当たると発光する蛍光塗料を内側に塗布してあり、紫外線UV-Cは透過しません。
- 紫外線透過ガラス製ランプ・・・・一般にGLランプと呼ばれ、形状は蛍光灯と似ており、コストパフォーマンスに優れています。ランプ形状に比べて出力が小さいこと、出力寿命が短いことなどの特徴が挙げられます。
- オゾンレス石英ランプ・・・・・石英ガラス中にチタンなどを含入することにより200nm以下の波長を吸収させるようにしたランプで、オゾン生成が無く、主に253.7nmの殺菌線を使用する殺菌装置などに利用されています。
- 天然石英ガラスランプ・・・・・・主に253.7nm(殺菌線)と184.9nm(オゾン線)の波長が放射され、184.9nmの波長は空気中の酸素に作用して、オゾン(O3)を生成します。このためこのランプは一般にオゾンランプと呼ばれています。
- 合成石英ガラスランプ・・・・・合成石英ガラスは天然石英ガラスに比べ200nm以下の透過性に優れ、ランプ点灯時間による透過性の低下が少ない(低波長側は特に吸収されやすいため)ため効率よく184.9nmの波長を放射します。ただし、材料が高価なため、特殊な用途でしか使用されません。
8,紫外線殺菌ランプの中圧ランプと低圧ランプはどのように違うのですか?
中圧ランプとは、一般には高圧ランプと呼ばれ、点灯時の管内圧力が1hp程度の水銀放電灯を言います。主波長は300nm~580nm付近にあり、化学反応などに多く使用されるランプです。消費電力の割にはUV-C(殺菌線)がでないため、殺菌装置には向いていません。このランプは、ランプ自身の温度が高いので高温(50~100℃)の場所で使用しても出力特性がそれ程変化しない特徴があります。大容量で発熱が大きいため、流水型では水が沸いてしまったり、焼け付いたりするトラブルが発生します。ON・OFF特性も悪く、消費電力の割には殺菌効果がありません。低圧ランプと比較すると1/8程度の殺菌効果(消費電力比)と思われます。
9,低圧紫外線ランプはW(ワット)数が同じなら、どれでも同じですか?
紫外線ランプは、管の長さ、太さ、管内ガス圧、フィラメントや希ガスなどの材料や製造方法、ノウハウ、品質管理方法など、様々な条件によって仕様や品質が変わります。通常カタログなどに掲載されているのは、そのランプの最も条件のよい時のデータと思われます。このため、このようなデータはあくまで参考にする程度で、個々の条件・目的により適切なランプを設計または選択し、使い分ける必要があります。ランプや装置メーカーのカタログで、W(ワット)数のみが強調され、これらの条件が無視されている場合、たとえW(ワット)数が同じでも全然違う殺菌性能になることがあります。
10,紫外線ランプはW(ワット)数が大きいほどよいのですか?
紫外線ランプメーカーは、『ランプ出力が大きい』=『殺菌性能が高い』かのように、大型ランプを作っていますが、容量の大きいランプはちょっとしたバランスの崩れで、照度(μW/cm2)が大きく振れたり、大型の冷却設備が必要になったり、取扱いが難しかったり(立上り性能や点灯性能)、ランプ価格が高かったり、寿命が短いなどのマイナス面も多く出ます。一般の蛍光灯が100Wや200Wを作らないことからも、ランプには効率よく経済的なW(ワット)数が有り、いたずらにW(ワット)数を大きくすることが良いランプとはいえません。
11,閃光殺菌(閃光パルス殺菌)とは、どのような殺菌装置ですか?
閃光殺菌とはキ(ク)セノンフラッシュランプを使用したもので、200W程度のランプをコンデンサーで昇圧して1秒間に3~5回フラッシュすることにより10倍程度のエネルギーを瞬間的に出すことができます。実際には元のランプが1秒間ついたのと同じです。
このキセノンフラッシュランプを使用した殺菌装置は30年近く前から発表されており、光殺菌といわれていますが、実際には紫外線殺菌です。ただ選択的に黒かびなどに対しては近赤外域での熱吸収による熱殺菌(色の黒いものに反応して毛根を焼く光脱毛などに利用されている現象と同じ)が行われています。
紫外線殺菌では黒かびは殺菌しにくいため、キセノンフラッシュランプを使用した閃光パルス殺菌は、黒カビも殺菌できる優秀な紫外線殺菌装置だと誤解を生じることもありますが、紫外線殺菌の指標菌とされる枯草菌(芽胞)で殺菌テストをすると、思うほどの紫外線(殺菌線)が出ていないこともあります。このことから黒カビは紫外線ではなく熱により殺菌されていることが判ります。枯草菌(芽胞)は熱に強く紫外線の効果を知るための指標菌として用いられています。
キセノンフラッシュランプは通常300nm以上の波長しか出ませんが、ランプに過電流を流すことにより波長特性が短波長の紫外域(200nm~)に移行し、紫外線殺菌が可能になります。しかし、過電流をかけるために寿命が極端に短く(10日~30日程度、24時間~8時間稼動)、殺菌性能の効率から考えると、低圧紫外線ランプのみを使用したほうがはるかに費用対効果は優れています(黒カビのみを選択的に殺菌したい場合は別ですが)。また周囲温度が高温になり、ハウジングの冷却など大掛かりな装置が必要となります。
12,紫外線殺菌と他の殺菌の違いはどう違うのですか?
紫外線殺菌は細胞のDNAに対して作用(吸収)し、核酸を構成する5つの塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル)が化学変化を起こし、2量体が形成され、核酸がその複製機能を失うことによります。これに対し、熱殺菌や薬品による殺菌では蛋白変性や細胞破壊などにより生命活動が抑制され死にいたります。
13,紫外線タンク照射殺菌装置には挿入タイプがあるようですが?
当社では、紫外線タンク照射殺菌装置はタンク外から紫外線を照射するようにしてあります。これは、ランプ切れは電気的に検出できますが、保護ガラスの破損は検出しにくいため、破損に強いように5mmの石英板を使用しています。
タンク内に挿入するタイプは石英ガラスを筒状に加工しているタイプがあるため、加工部分にストレスがかかり歪や強度差が出来て破損しやすくなります。気がついたときには破損していたでは済まされません。これに対して1枚板のものは強度が均一で強いため、当社では、安全性を重視し、発売以来30年以上、外部照射タイプを選択してきました。納入実績が千数百台の現在まで破損事故(ミスによる加圧や陰圧を除く)が無かったのも、選択が間違っていなかったと考えます。
現在当社では、破損しない(破損しても異物混入のおそれが無い)材質を使用したタンク内に挿入(凸型)するタイプも販売しております。このタイプは、装置のランプハウジングの改造で、従来のランプを使用出来るようにしてあります。また小型の灯具を持ち運びできるように開発したタイプもあります。
14,タンク照射で内部挿入したほうがエネルギー効率がよいと思うのですが?
たしかにタンク内に内部挿入(凸型)した方が、タンク天面(壁)部分に照射しやすく、多灯数の場合には灯数が減らせるなど効率が良くなるのは確かです。ただしタンク内に内部挿入(凸型)する殺菌の場合、最も大きな危険(リスク)は挿入(凸型)した部分が石英製の場合、破損の危険性が極端に大きくなることです。
13の質問の部分にもありますが、石英などを加工した場合、石英の加工部分にひずみなどが生じ、破損の危険性が大きくなります。ランプの不点などは電気的に検出できますが、これらの石英管が陰圧で脱落したり破損した場合は、ある日、破損しているのを発見したり、いつ破損したのか気づかなかった等の危険性があります。
また重複しますが、現在当社では、破損しない(破損しても異物混入のおそれが無い)材質を使用したタンク内に挿入(凸型)するタイプも販売しております。
15,通常、カタログに載っている処理量とはどのような基準ですか?
通常メーカーがカタログ値(処理量)として掲載している数字は、現在では、ほとんどが最も条件がよい場合の数値を掲載しているものと考えられます。このためメーカー側は、カタログ値(処理量)がどのような条件および仕様で決まったものかを明確に提示する必要があると思います。30~40年くらい前は、メーカーサイド、ユーザー様サイドそれぞれが安全率を付与して装置設計、選択をしており、また実装置における菌テストを実施して、装置の比較をしたり、安全な安全率を設定して装置導入されてきました。現在では価格競争の激化によりカタログ(処理量)の数値だけが独り歩きし、安全率がそぎ落とされている印象を受けます。当社は、安全率に関する十分な配慮も必要だと考えます。
16,キャップやペット口照射の照射量はどのように計算しているのですか?
照射量の計算はランプ1本で測定したデータを使用するのでなく、実際の装置での紫外線照射強度を基に照射量を計算する必要があります。これは、紫外線照射強度は周囲温度等に大きく影響されるため、ランプ1本で測定したデータとは大きく変わるためです。このため照射量を計算する場合は、ランプを3本使用した場合は、1本のデータを3倍にするのではなく、装置と同じ条件で測定したデータを使用する必要があります。これらの数値を基に、発光長分での照射時間との積を計算し、紫外線照射量(μW・sec/cm2)として計算します。
17,キャップ殺菌でのランプ本数の違いは、能力の違いになるのですか?
平面状での殺菌は、紫外線照射量(μW・sec/cm2)と殺菌性能はほぼ一致しますが、キャップや容器の殺菌では、フィンやねじ、溝やシュート棒の影など様々な凹凸があるため、影が出来たりして、殺菌性能に明らかに差が出ます。このためキャップ殺菌では、1本、2本では線光源となるためキャップ内に影の部分ができ、その部分が未殺菌となってしまいます。当社の3本タイプはこのよう未殺菌の部分を極力少なくし、殺菌性能を確実に上げるように設計されたものです。当社の3本タイプは、ランプ同士の温度干渉による照度(μW/cm2)の低下を防止する機構も備えており、またランプの立上り性能も良いため、ランプのON・OFF制御が可能です。
18,いろいろなメーカーの紫外線照射殺菌装置に違いはあるのですか?
メーカーとしてのものの考え方やノウハウなどによって、設計も変わり、使用するランプやその他附属品なども違います。このことから安全率、価格にも違いがあります。
装置メーカーやランプメーカーがカタログ値として掲載している数字は、ほとんどが最も条件が良い場合の数値を掲載していると考えられます。紫外線照射殺菌装置は、ランプを複数本組み合わせたり、ランプをハウジングの中に入れたりするため、ランプ同士やハウジングそのものの熱影響が大きく、たいていの場合、実使用環境において照度計で測定すると、カタログ値と大きく違う場合が多いようです。
従って導入の際には、装置の設定条件や設計基準などを明確に(数値的に)出してもらうことが大切です。
19,紫外線殺菌装置の消耗品はランプだけですか?
基本的には消耗品はランプだけです。ランプは経時劣化があり、使用条件によって消耗度が異なりますが定期的に交換する必要があります。これ以外ではO-リングなどのシール類も定期的に交換する必要があります。電気部品については製品的な寿命があり、その寿命の範囲で使用することが出来ます。安定器や時間計、リレー類などの部品に関しては通常壊れるまで使用するのがほとんどです。これらについては必要であれば最低数量のみを予備で保管すればよいでしょう。また流水型の殺菌装置などの場合には、保護管(石英ガラスなど)の定期的な交換が必要となります。
20,ランプ破損の心配はないのですか?
殺菌ランプは石英ガラスで出来ており、石英ガラスもガラスである以上物理的破損は避けられません。避けられない以上破損を避ける工夫、破損した場合の対策などあらゆる手段をもって対策を講じなければなりません。破損しないための石英の強度、想定される物理的耐性、破損した場合の安全対策など様々な事態を想定し、それに対応した装置化をしなければなりません。
また流水型の装置で保護管に石英ガラスを使用している場合、保護管(石英外管)の管理も適正に行い、殺菌性能と同じ以上に破損に対しては注意を払う必要があります。破損した場合、ガラスの破片は異物検査で検出しにくく、製品に混入した場合、致命的なトラブルとなる可能性があります。過去には砂糖の中にガラスが混入していて商品を回収したケースや流水型の装置で保護管(石英外管)が破損したケースなど報告されています。
21,殺菌装置は色々なメーカーがありますが・・・
殺菌装置メーカーは色々ありますが、殺菌装置の選定に当たって、重要なのは、殺菌性能だけでなく(殺菌装置であるから殺菌できるのは当然)それぞれのメーカーの考え方、設計への生かし方がどのように反映されているかが重要なポイントとなります。値段だけにとらわれるのではなく、前述したように、一つのトラブルが決定的なトラブルとならないように、メーカーや装置を選択する必要があります。
殺菌性能は製品の品質にとって、重要な問題であるにもかかわらず、無いよりあったほうが良い程度の感覚であったり、エンジニアリングメーカー任せ(価格の安いものを選択する場合が多い)になっている場合が多く見られます。殺菌装置の選択は殺菌性能や価格はもちろん、安全性、安全対策などといった様々な面から評価する必要があります。
22,メンテナンスはランプ交換だけでよいのですか?
メンテナンスとは装置を原状に復帰させるという目的で行われるべきで、ランプ交換をしただけでは充分なメンテナンスとはいえません。装置にもよりますが、例えば流水型の殺菌装置などの場合には、保護管の石英ガラスが汚れていた場合、ランプを交換しても原状には回復しません。何回もこのようなこと(ランプ交換だけのメンテナンス)を続けていると、性能や安全性がどんどん悪くなる可能性があります。
23,紫外線殺菌装置を使用する上で大事なことはなんですか?
紫外線殺菌装置を導入する際、多くの場合、紫外線照射量や寿命など様々なご質問があります。しかしいざ導入されると、使用現場ではランプ交換さえすれば良いというような管理がされている場合が多く見受けられます。さらにはランプの交換すら適切に行われていない(ランプ交換をしない、または模造品ランプの使用)場合もあります。
紫外線殺菌装置を確実(適切)に活用(使用)するためには、購入する時点で管理基準・管理方法(状況に応じて予備品の管理やチェックの方法、サイクルなど)を明確にしておき、それによって使用・管理するのが最も大事なことです。どんなに性能の優れた紫外線殺菌装置でも、管理が適切でないと殺菌出来ないどころかトラブルの要因(汚染の原因や事故の原因)となる装置になってしまう可能性があります。
24,紫外線殺菌装置の管理はどのように行えばよいですか?
紫外線殺菌装置の管理は、紫外線ランプが正常に照射されているかどうか確認することが大切です。このため装置を導入する時に、紫外線ランプの照射強度を確定しておく必要があります。そしてランプを交換する時に、それまで使用していたランプが、正常に機能して基準値(決められた照射強度)で動作していたかの確認を行い、記録に残しておく必要があります。そして装置の汚れや電気系統のチェックを行い、装置が原状に回復したことを記録に残しておくことによって、トラブルが発生した時に、トレーサビリティー(原因遡及)が可能になります。このように管理することが大事であり、ランプの交換だけでは管理とはいえません。
25,紫外線殺菌装置を導入(選択)する上で大事なことはどのようなことですか?
23でも触れましたが、紫外線殺菌装置の導入後に適正な管理が行われない場合が少なくありません。導入後の適正な管理が重要で、どのような装置であっても適正な管理さえ出来ていればそれなりの性能は確保(維持)できます。そのため、装置導入時に的確な管理が出来るようメーカーが提示する必要があります。
ランプ交換をメンテナンスといったり、何を管理すれば良いのかさえ判らず、価格競争で装置を売ることのみ一生懸命で、後のことは知らないといったようなメーカー(業者)を価格で選択することは、殺菌という重要な問題に対する装置の選択にしては安易であると考えられます。
価格が安いという理由で選んだ結果、希望する殺菌効果が得られずに、すぐに増設することになったり、装置を買い替えることになったり、ランニングコストや労力が高くついたりなどといった話をよく耳にします。大事なことは、装置の性能・管理・サービスを含めてのトータルを選択基準にするということだと思います。
紫外線殺菌装置の性能はギャランティーが出来ません。これは性能と結果に関する再現性が推定でしかないことにあります。性能を保証しているようなメーカーがあれば、何をどのように保証するのか明確にしないまま、性能を保証するといっているだけであることがわかると思います。
プラントメーカーやエンジニアリングメーカーの中には、装置や基本的原理も知らないまま『価格が安い』、『メーカーがこう言っている』など大事な装置であるとの認識が欠如した状態で選択されている場合が多く見られます。装置を使用したときのメリット・デメリット、サービスも含め装置に要求するものを明確にして導入することが大切です。
26,(株)豊振科学産業所の装置は標準がフルスペックですがどうしてですか?
当社の殺菌装置でトラブル対応用信号接点を標準装備しているのは、当社の基本姿勢であり考え方の違いです。ランプの異常や装置のトラブルに対する考え方の差が、これらをオプションとせずに標準仕様に組み込む必要があると考えています。このようなトラブルは結果に重大な影響を与えます。結果の重大性から考えて、メーカーとして必要と考えるシステムは全て標準仕様に組み込むように改善・改良を加えています。これは当社の基本理念である『安全は全てに優先する』にてらして必要かどうかが判断基準になっています。またいたずらに装置の使用部品を変更するのではなく、安全性を十分検討し、装置を使用するオペレーターの負担にならないように十分考えた上で選定しています。このような考えから他社ではオプション仕様のものが当社では標準仕様に組み込まれている理由と考えます。
27,紫外線ランプで同等品ということを言われますが、同じですか?
結論からいうと同等品は同じ物ということではありません。9の低圧ランプの説明のところで説明しましたが、ランプの特性は条件によって変わります。このため同等品といっても、ランプのW(ワット)数が同じであるというだけで、ほとんどの場合、条件による性能が違います。このことは、殺菌性能や寿命など全てに影響を与えるため、同等品とは電気的特性が同等という事で性能や特性が同じと言うことではありません。
同等品というような紫外線ランプのデータは、1本だけで作成されたもの(環境の良い実験室や机上のデータ)が多く、その限りでは、データ上は同様(またはそれ以上)にみえる場合があります。しかし実際(実使用環境)には、複数本使用した場合のランプ相互の温度干渉やハウジング内での温度上昇などにより極端に照射強度(μW/cm2)が低下したり、流水型の場合であれば水温等が低温や高温のために出力が上がらなかったりといった場合があります。ランプの形が同じだけで同等品といっている場合も多いのです。
ランプ交換(消耗品販売)だけを目的に同等品と言っているのを良く聞きますが、実際には似て非なるものです。当社では同等品であるかのように偽った『模造品』ランプという認識で区別しています。『模造品』ということで、安い紫外線ランプと交換してトラブルを起こした例をよく聞きます。『模造品』を扱っているメーカーが自社製品には高い紫外線ランプを使用していたり、『模造品』を使用して、製品不良でトラブルを起こしたために客先から使用を禁止されたりした例もあります。
28,UTSで使用されている樹脂保護部は耐熱性はありますか?
UTSで使用されている紫外線透過性樹脂は、蒸気滅菌(120℃)などにも耐えられる耐熱性がありますが、樹脂のため温度が上昇すると軟化します。そのため蒸気滅菌をしながら加圧した場合は、トラブルが起こる可能性があります。蒸気滅菌等を行う場合は、ランプを消灯し、タンクを解放状態にして常圧下で行って下さい。
29,UTSの樹脂保護部は糖の焼付きや汚れの焼付きが起こりませんか?
石英に比べて保護部の樹脂は液糖等が付着しても、温水などに浸けてやわらかい布やスポンジで軽く洗っていただければ簡単に落とすことが出来ます。硬いもので強く擦ったりすると樹脂が傷ついてしまいますので、やわらかい布かスポンジなどで擦って落としてください。簡単に落とすことができます。
30,PETボトル口部やプリフォームの口部はなぜ殺菌する必要があるのですか?
ペットボトルの口部は、ホットパック充填でも熱の加わりにくい部分です。ボトルの移送中にセパレートシート等との接触により口部天面やその周囲が最も汚れます。さらにホットパック充填の場合、キャッピング後の転倒殺菌時に、キャップとボトルの接面にエアーリングが出来たりして十分な殺菌が出来なかったりします。この部分をあらかじめ殺菌しておくことによってトラブルを減少させます。また、プリフォームでは、成型時に加熱(過熱)をしますが、口部は変形させないように過熱させないような構造になっています。プリフォームの製造・移送中の汚染に対して、口部を殺菌しておくことにより、リスクを低減させます。
31,紫外線ランプはすぐに立ち上がらないのでは?
紫外線ランプは放電ランプなので、ランプ内温度が上昇するまで出力が上がりません。そのためランプにON・OFFの制御などをした場合出力が上がらないうちに、ラインはどんどん動いてしまいます。当社の装置では、このような事の無いように立上りスピードが早いランプの開発と装置設計により、ランプのON・OFF制御を可能にしています。装置や使用方法に合ったランプと、ランプに合った装置設計の両方が一致しないと、形が似ているだけで性能がまったく出ないものになってしまいます。